このエントリーをはてなブックマークに追加

新しいコミュニティを作るのに適した
銀座のコワーキングスペース

ビジネスフレンドとのつながりを作れる複合オフィス施設

[League]Ginza Tokyo, Japan

  • ビジネスフレンドと会える場所を作る
  • マッチングに重点をおいたサービスを展開
  • グローバルなコミュニティを形成できる場所として機能

「未来のビジネスフレンドとつながるコワーキングスペース」というコンセプトを持つ、一風変わった複合オフィス施設が東銀座にあるのをご存じだろうか。

その名も「LEAGUE」。空いた時間にふらっと立ち寄って仕事ができる「ビジネスラウンジ」、個人のデスクスペースを借りられる「パーソナルブース」、そして最大8名まで利用できる20㎡超の「サービスオフィス」などから成る、まだオープンから1年半ほどの新しいオフィス施設である。

「ビジネスフレンドとは、『ビジネスパートナー』と『プライベートの友人』の中間にあたる存在をイメージしています。友人同士の会話のようにビジネスの話が気軽にできる、そんな新しいコミュニティを形成するお手伝いができればと思っています」と語るのはLEAGUEで「コーディネイター」を務める児島絵里子氏だ。

利用者同士のマッチングに重点をおく

こうしたコンセプトであるため、コーディネーターの業務はこのようなオフィス施設に求められる基本的なサービス(オフィス受付、来客の取り次ぎ、宅配物や郵便物の受け取りなど)だけには留まらない。

「普段はLEAGUEに常駐し、お客様に他のお客様をご紹介するようなマッチング業務に重点を置いています。また、契約の際には必ずお客様と直接お会いしてお話を伺うことにしています。中にはネットやメールだけで契約を済ませられるサービスオフィスもありますが、私たちがこうしたプロセスを踏むのは、お客様のことを理解し、お客様にLEAGUEのコンセプトを理解していただくために必要な時間だと感じているからです」(児島氏)


旅館だった建物をUDS株式会社がコンバージョンし、LEAGUEが誕生した。銀座の昭和通りとマロニエ通りの交差点からすぐのところにある。

  • 1階にはLEAGUEのフロントとカフェ、ビジネスラウンジ。2階はキッチンも併設したビジネスラウンジで、イベントスペースとして貸し切りすることも可能だ。月額1万5000円の「通常会員」のほか、月額5000円の「土日会員」など、使い方によって契約方法を選べる。

  • 1〜3名向けのパーソナルブースには、約3〜7㎡の広さのブースが7カ所ある。チェアやデスク、収納スペースも完備。広さによって異なるが、月額5万円〜(共益費別)で借りることができる。オフィスとして登記することも可能だ。各ブースのパーティションはほどよい高さに設計されており、座っている時は周りが見えないため集中でき、立つと周囲の人の存在をうっすらと感じることができる。

  • 4〜9階には20㎡超の広さのワークスペースが12室。家具のないスペースと家具のあるスペースのいずれかを月額25万5000万円〜(共益費別)で利用できる。またサービスオフィスとパーソナルブースの入居者には、ビジネスラウンジなどの施設が無料で利用できるなどの特典もある。

海外で活躍するビジネスパーソンの
利用者が多いのも魅力の一つ

内装ももちろん、このコンセプトに基づいたものだ。UDS執行役員の辻本祐介氏は言う。「LEAGUEのある東銀座から羽田空港までは都営浅草線で1本。約30分で移動できるアクセスのよさも手伝って、海外を行き来するお客様も非常に多くいらっしゃいます。日本のみならず世界中で活躍するワーカーが多いエリアですから、『日本らしさ』をデザインで表現することを目指しました」

トータルで見るとモダンで質感のある雰囲気でありながら、よく見ると1階と2階の壁はベージュ、3階より上の壁は真っ白。落ち着いた会話を促進させる色と集中力を高める色をフロアによって使い分け、働き方によって環境を選べる工夫も盛り込んだ。

「例えばテーブルの天板ひとつとっても、よく見ると木目の少しずつ異なる板がモザイク状に組まれています。バラバラな個性を持つものが集まることによって一つのプロダクトを形作る。日本の伝統工芸品である寄木細工のようなイメージですね」(辻本氏)

入居中の会社同士のコラボも多い

LEAGUEのコンセプトは、利用者の間で実際にさまざまなコラボレーションを生んでいる。UDS広報の宮原さくら氏曰く、「パーソナルブースに入居されていた3社が意気投合し、それぞれ社員数が増えたことをきっかけに、3社合同で4階のサービスオフィスに移られました。『目指せ9階!』というようなこともおっしゃっています(笑)。他のサービスオフィスにはあまり見られない光景だと思います」とのこと。

その他にも、入居する映像制作会社にLEAGUEのプロモーション・ビデオを作ってもらったり、UDSの別の事業に入居者が関わったり、外国人の入居者が講師となって英会話教室を開いたり……と、LEAGUEが育んだ「ビジネスフレンド」の輪は確実に広がっているようだ。

オランダのワークスペース「Seats2meet」と提携

この動きをさらに加速させる可能性を秘めているのが、SNSサービス「Seats2meet(以下S2M)」である。S2Mは、ワークスペースの予約サイト(http://www.seats2meet.com)。オランダで生まれ、現在約80カ所以上の提携先を持つ。

最大の特徴は「利用者のナレッジを可視化」した点。利用者は予約時に自らのナレッジ(「不動産業界に詳しい」「コーチングのスキルがある」などの専門スキル)を登録することになっており、他の利用者はそれを見て「今日は不動産に詳しい人がここに来ているんだな。少し話がしたいな」と、その人にアクセスすることができる。

そのアクセスに応えるかどうかは自由だが、「いつでもナレッジを提供しますよ」というオープンな態度を表明するだけで、利用料金が無料になるという仕組みになっている(S2Mはこれを「ソーシャルキャピタルによる支払い」と呼ぶ。貨幣での支払いも可能)。このコンセプトにLEAGUEが賛同し、提携を決めたのだという。

S2Mが日本で唯一利用できるLEAGUEを中心に、ワークスペースというものの捉え方は今後大きく変化していくだろう。「まずはLEAGUEのコンセプトをもった施設をこのエリアに増やし、広い意味でソーシャルキャピタルを集めていきたいと思っています。我々の仕事の目的は『街づくり』。点と点をつないでいって、よりよい街づくりに参画できれば、それが理想ですね」(辻本氏)

コンサルティング(ワークスタイル):自社
インテリア設計:松井亮建築設計事務所
建築設計:松井亮建築設計事務所

WORKSIGHT 06(2014.10)より


2階ビジネスラウンジはセミナー等のイベントスペースとしても使用できる。


実は、LEAGUEではラジオ番組も持っている。東京都中央区のコミュニティFM「中央エフエム」の「中央Lovers LEAGUE」という番組だ。LEAGUEの入居者や中央区内で働くワーカーをスピーカーに迎え、「銀座での新しい働き方」などを紹介している。LEAGUEのようなワークスペースとラジオ番組には何も関係がなさそうにも見えるが、辻本氏はこう語る。「マイクの前で改めて入居者のみなさんのナレッジをお伺いするのは私たちにとって今後の運営の参考になると思いました」。一方スピーカーにとっては自分自身のナレッジを発信するいい機会にもなっているようだ。番組のアーカイブはLEAGUEのサイトからも視聴ができる。
http://league-ginza.com/radio


日本初のSeats2Meet導入にあたり本国オランダから講師が来日した。

RECOMMENDEDおすすめの記事

「一物一価」で遊休スペースを収入源に変える

[重松大輔]株式会社スペースマーケット 代表取締役/CEO

人材のダイバーシティがプラスに働く産業とは?

[森川正之]独立行政法人経済産業研究所 副所長

TOPPAGE
2022年7月、「WORKSIGHT[ワークサイト]」は
「自律協働社会のゆくえ」を考えるメディアへと生まれ変わりました。
ニュースレターを中心に、書籍、SNS、イベント、ポッドキャストなど、
さまざまなチャンネルを通じてコンテンツを配信します。

ニュースレターに登録する